徳田秋聲ラブ!
二度目の金沢。せせらぎ通りの「オヨヨ書林」へ。
古い倉庫のような建物に古本がざっくざく。開いててよかった。
いちばんに目に付いた棚に運よく、徳田秋聲の「新世帯/黴」を発見!
映画「あらくれ」が徳田秋聲原作と知ってからのファンなので、即買い。800円。
店内をうろうろしたあげく、他にも買ったものリスト
「モリはモリ、カヤはカヤ」熊谷榧(1000円)
「KAWADE夢ムック 半村良」(500円)
金沢3泊したけど、奇跡のように雪もなく暖かだったから、帰って来てビックリ。
まさかの雪。でも、おこもりして徳田秋聲読んでた。やっぱいいなあ。
新世帯も黴も新婚世帯の話なのに、ちっともラブラブじゃないし、「黴」では笹村という主人公の男が妻から二人目の妊娠を告げられるや「手を噛まれた」と思ったという描写には思わずクスっと笑ってしまった。
若い時ならこの男サイテーと怒っただろうが、私の年齢だと「ま、それほど好きでもない妻の妊娠だったら、男の正直な気持ちだろうなあ。」と納得できるのである。
この身も蓋もない感じを冷徹に書く。男女のどうしようもなさ、女のふてぶてしさを容赦なく書く。徳田秋聲、もうちょっと評価されてもいいのでは。
文豪アルケミストでは、「地味。影が薄いキャラクター」と紹介されているが、私ははしゃがない秋聲のファンです。泉鏡花や室生犀星よりも徳田秋聲様なのだ。